【指導要言集】文化と社会 〜現代社会と人間〜
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指導要言集(昭和43年10月12日初版)
現代の世界は、物質文明の進歩によって、物質的な生活レベルは、著しく向上してきた。かつては、飢えと貧困にあえいでいた下積みの大衆が、いまでは、かつての王侯なみの食衣住を満喫している。これは文明の進歩の偉大なる収穫である。だが、その反面、人間らしい生活感情、相互扶助の連帯意識は、次第に消え失せ、表面上の物質的なうるおいに反比例して、内心の精神生活は、不毛の砂地のようになっている。のみならず、人間的倫理に代わって、動物的な弱肉強食と、むきだしにされた欲望とが、支配するようになってきたのである。――御義口伝講義
現代人は、人生、社会に対してただ消極的に反応するだけの、弱々しい人間となりつつある。人間同士の関係も、情緒豊かなうるわしい関係が次第に失われ、義務的で、機能的なつながりが支配的となってしまった。いわゆる”人間(にんげん)疎外(そがい)”といわれる、人間の主体性喪失の現象である。それは、また人間一個の生命の尊厳が弱められ軽視されている風潮でもあろう。――科学と宗教
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