『私の人間学』 「不惑」を生き抜く力――シュバイツァーの原動力(P40~)
(抜粋)
つまり、すべての面で、しだいに行き詰まりが生じ、未来への希望が失われるようにみえる年代が四十代といえよう。それにつれて、理想、信念に向かっていちずに突き進もうとしていた青春時代とは異なり、現実をうまく泳いでいこうとする狡(ずる)さに傾斜していきがちである。こうした一番危ない年代が四十代であるといっても過言ではない。
概して、二十代というのは清らかである。三十代になっても、まだ純粋さがある場合が少なくない。四十代になると、人生の一つの岐路にさしかかり、濁りを生じてくることが多いようだ。そして自分で自分をどうしようもできなくなることがあまりに多い。
(中略)
自分自身が向上心を失ったところに、惰性や老化が始まる。また文句や愚痴を言っている人には感激がない。自らの生命をしだいに暗くし、閉ざしてしまう。そして心はすっきりせず、自分も複雑にし、人々をも複雑にしていくだけである。
自分を限りなく、どう成長させていくかという課題をもつこと。そして、それを生み出す原動力としての生きがいを持つこと。そこに年齢の進行とともに生まれる停滞を打破して、真に人生を”生き抜く力”があるといえる。生命内奥の息吹をわき立たせてくれる充実した目標と目的観、そして、豊かな生命力と想像力に恵まれた世界を持てる人こそ、幸福者といえるのではないだろうか。
関連記事
-
-
【指導要言集】信心 〜指導〜
内部の個人個人をじっくりと大信者に育てよう。一人も残らずに。――日々の指針 自己の指導が、その
-
-
【指導要言集】中道主義 〜戦争〜
戦争ほど残酷なものはない。戦争ほど悲惨なものはない。――人間革命 勝者の殺人は合法となり、敗者
-
-
【指導要言集】指導者 〜愚将〜
愚将 独裁的な指導者の気ままな感情や、人間生命を蔑視する偏狭な、そして冷酷な思想が、民衆に悪政
-
-
【指導要言集】青年 〜青年期〜
青年期 青年とは、絶えざる建設と革新の息吹きの象徴である。すなわち、強く、そして清浄であり、か
-
-
【指導要言集】人生観 〜謙虚〜
学究の徒として、少し知識を得たからといって、もうすべてを知り尽くしたと慢心を起こしている人は、自ら未
-
-
【指導要言集】信心 〜目標〜
今日の目標は、その日のうちに必ず達成することだ。それがまた、明日の戦いへの勝利の因である。――日々の
-
-
【指導要言集】中道主義 〜魔の所業〜
現今の地球を包む魔の力は厚い。たとえば、限定戦争という調法(ちょうほう)な言葉を発明して、戦争をやっ
-
-
【指導要言集】文化と社会 〜思想の力〜
最も高遠な哲理も、卑近な日常のことの中にある。――人間革命 現実を遊離した哲学は、思想として死
-
-
【指導要言集】広宣流布と組織 〜連絡、報告〜
連絡、報告を迅速にせよ。これ勝敗の岐路なれば。――日々の指針 大事な用件は火急に連絡をしあうこ
-
-
【指導要言集】人生観 〜虚栄〜
虚栄は裏側で自己を苦しめることになる。――巻頭言 いま、虚栄高く、幸福そうに見える人も、時代が